好きになんてなりたくなかった
「こ、これ、りりいちゃんに頼むっ!!!」
目の前の男子が勢いよく手紙を渡してくる。
もちろん、私の名前はりりいじゃない。
りりいというのは私の幼なじみの名前だ。
近年稀に見るくらいの美少女で、コミュ力も高くて、でも全然気取ってない。
女の私が見てもきゅんきゅんしちゃうくらい可愛いから、好きになっちゃうのは全然分かる。
分かるんだけども。
なんで自分で言わないの!?
いや分かるよ、緊張して言えなかったら困るっていうのは分かるけど。
それにしてもチキンな男子が多すぎじゃない!?
こうやって仲介役を頼まれるのはもう30回目くらいになる。
さすがにしんどいよ……
でも、
「頼むよ羽瀬、お前だけが頼りなんだっっ!!」
こんなお願いされたら断れないよねえ……
結局、引き受けてしまった。