如月の空の下、光る君を見つけた。
「はーい、今日はここまでー。で、帰りに二葉さんは職員室に来て下さい。以上」



げげげ...。


絶対宿題の件だ。


うわわ、最悪。



「宿題やってこないからこうなるのよ。昔は真面目だったのに一体どうしちゃったんだか」


「みっちゃん助けてよ~」


「助けるわけないでしょうが。自分の宿題は自分でやりな。じゃああたしは部活行くから。また明日」


「ええ~?!待ってよ~」



みっちゃんは決して手助けはしてくれない。


そんなの分かってる。


だから自分で何とかするしかないのだけれど、それにしても最悪だよ。


呼び出しされるし、皆から笑われるし、陰口叩かれるし。



――山本さん、絶対迷惑してるよね。


――あんなのが幼なじみなんて可哀想。


――美女に寄生してキモすぎ。



はいはい、そうですか。


そんなの言われなくても分かってますから!


視界に入らないよう消えますから。


さようなら。


私は足早に教室を後にし、職員室に向かった。


廊下から吹いてくる爽やかな風が逆に鬱陶しかった。

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