如月の空の下、光る君を見つけた。
それから数日後。


みっちゃん名義で5周年記念ライブを当てることが出来た。


しかし、素直に喜べないまま、100均に応援うちわ用のグッズとうちわホルダーを買いにいき、最後となるうちわ作りに励んだ。


扇風機をガンガン体に当て、首と額に冷えピタを貼り熱を吸収したものの、そう簡単に暑さが拭えるわけもなかった。


私は暑さに悶えながら、バカな脳ミソを必死に絞って絞ってアイデアを出し、最高傑作を作るために奔走した。


作業中思った。


別にファンを辞めなくてもいいんだと。


如月陽翔と片桐詩央は別人で、全く関係ない人間として捉えればいいんじゃないかと。


好きを諦める必要は全くないんだと。


だけど、それを許さない自分もいる。


苦しむ詩央くんを見て何食わぬ顔で陽翔くんを応援するなんて、1人の人間としてどうかしてるって思ってしまう。


確かに私の王子様は陽翔くんだ。


でも、それは幻だって分かった。


ならやっぱり詩央くんのためにもここは諦めなければならないんだ。


あぁ、いつまでもモヤモヤが消えない。


それに加えてこのバカみたいな暑さが拍車をかけ、作業効率はいつもの3分の1、いや5分の1のペースかも。


モヤモヤも汗と一緒に蒸発してしまえばいいのに。


< 61 / 98 >

この作品をシェア

pagetop