如月の空の下、光る君を見つけた。
私が引き受けた仕事はおとりになること。


陽翔くんが校長先生のところにいく間にマスコミが来るだろうからそこで興味を引き付けておいてほしい。


アイドルは辞めるし、イメージダウンなこともめちゃくちゃなことも言っても構わないからとにかく校舎内には入れるなとそう言われた。


私は精一杯やると答えた。


精一杯がどの程度か分からないけど、やらせていただきます。



「私は如月陽翔くんのカノジョではありません。この学校で唯一無二の彼の友達です。ちなみに私は彼のだいっだいっファンで彼のヲタクです。私があまりにもうるさく付きまとうため彼は私と一緒にいてくれました。カラオケにも連れていってくれたので私はもう大満足です。やましいことは1つもしてませんし、なんなら、今からメッセージのやりとりを見て頂いても構いません。そのくらい自信を持ってカノジョでないことを全力否定します!」



私のその発言にマスコミは大分驚いたようで私の話を目を丸くして必死にペンを走らせながら聞いていた。



「最後に一言。こんなにも多くの人が如月陽翔くんを気にかけて集まって下さったことが大変嬉しく、そして感謝です。嬉しくて涙の一粒も出ません!ふふっ。なんなら飛びたいです。跳ねたいです。如月陽翔のヲタクだということに誇りを持ちます!みなさん、今日はお集まり頂き、ありがとうございました!」



私が深々とお辞儀をするとどこからともなく拍手が沸き起こった。


これで本当に終わりだ。


最後に素晴らしい舞台をありがとう。


陽翔くん、大好きだったよ。


ありがとう。


本当にありがとう。


そして、さようなら。


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