如月の空の下、光る君を見つけた。
冬のある日のこと。


私はみっちゃんの常連の店に呼び出されていた。



「みっちゃん仕事大変そうだね」


「大変なんてもんじゃないよ~。セクハラ課長の元で働かされてさぁ、頼りにしてた同期には辞められちゃうしさぁ、最悪だよぉ。あたしもぉ事務職でいい~」


「そんなわけないじゃん。みっちゃんは昔から成績優秀なんだから大手商社で働くのは当然だよ。私と動かす人もものも世界も違うんだよ」


「まぁ、そうだけどさぁ。あぁ...そっかぁ。あたしすごいやつだもんね。もうちょい頑張ってみるか」


「うん...。それはいいんだけど、みっちゃん飲み過ぎ...」


「うっさいなぁ。こんくらいしないとねえ、ストレス消えないんだよぉ」



意外にもみっちゃんはお酒が弱い。


グラス1杯で酔ってしまい、それ以上飲んでしまった際には人格まで変わる。


この前なんかワインボトルを投げ回して警察沙汰になった。


みっちゃんを止めてあげられるのは私しかいない。


私はいつも飲まずに彼女の介抱に徹する。


私も大人になったものだと感心する。



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