如月の空の下、光る君を見つけた。
「みっちゃん私帰るね」


「こっとりぃ、ばいばぁい」


「良く寝て早く酔い冷ましてね」



みっちゃんを1人暮らしの自宅に送り届けた後、私は最寄り駅を目指して歩きだした。


それにしても今日は寒い。


マフラーをぐるぐる巻きにして手袋をした手をコートに入れているというのに少しも暖まらない。


早く帰ろう。


終電を逃さないよう早足で駆ける。


しかし、日中日光が当たらない場所はまだ雪が残っているし、分厚い氷が張っていて走ったら滑って転びそう。


慎重に歩こう。


へっぴり腰になりながら1歩1歩着実に前に進んでいく。


だんだんと駅に近づいて来ていてオレンジ色の商店街が見えてきた。


もう少しで駅だ。


アイススケートゾーンを突破しふと空を見上げると、満月と粉雪が視界に入った。


夜空から純白の雪の花が舞い降りてきてアスファルトに染み込む。


私のはく息の白さと相まって幻想的で美しい。


こんな夜も悪くないなと思いながら再び歩き出す。


前方には...誰かの足跡。


それを辿っていく。


前を行く大きな背中が目に飛び込んできた。


徐々に大きくなるシルエット。


その背中に光り輝く黄金の翼が見えた。


もしかして...。


いや、そのもしかして...。


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