空よりも海よりもキミのことを知りたかった。
夏帆ちゃんと部室に来てみたのは良かったけど、私の居場所はなかった。

夏帆ちゃんはもう少し海くんと話してから帰りたいらしく、用のない私は先に退散することになった。

ふと空を見上げる。

今日は360°雲ひとつない青空だ。

青空はどこまで続くのだろう。

その向こうには何があるのだろう。

そんなことを考えてしまうのは昔からの癖。

虹の始まりと終わりはどこなのか、

雲は漂ってどこに行くのか、

星は1日に何個生まれ、何個死ぬのか。

不思議に思うのは大体空なんだ。

もしくは空の下、空と溶け合うようにある真っ青な海。

なんで青なんだろう。

手をカメラの形にして心のシャッターを切って脳にレコードし、歩き出す。

その時だった。


――バンッ...!


ものすごい音がしてまた立ち止まってしまった。

破裂音みたいだったけど、大丈夫かな?

辺りを見回すも、騒いでいる様子もない。

よし、行こう。

歩きだした途端、足首に何かが当たった。

視線を落とすと花粉症対策用のメガネがずれた。

かけ直してから見てみるとサッカーボールだった。

ということはさっきの音はこれを誰かが蹴った時の音だったんだ。

それにしてもすごい音だったなぁ。

合点がいき、拾い上げようとした時、ぶわっと砂ぼこりが舞った。


「ゲホッ、ゲホッ」


何この砂ぼこり?

砂ぼこりの間から微かに見える青色に白のラインが入った靴...。

もしかしてサッカー部の人?

恐る恐る顔を上げると...ばっちり目が合った。


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