空よりも海よりもキミのことを知りたかった。
「すみません。あの...ボール...」


こ、ここ、この人...。

かっ、かっ、かっこいい...!

一瞬で目を奪われ、じっと顔を見つめてしまう。

風になびくサラサラの茶髪。

透き通った大きな瞳と二重瞼。

すっとした鼻筋。

しゅっとした口元。

フェイスラインも無駄な脂肪がなく、美しい...。

そして、風に吹かれ香るフローラルな柔軟剤の香り。

胸がきゅんと鳴り、心臓がとくとく静かに忙しくなる。


「ボール」

「あっ...はい」


彼が乱暴に取り上げる。

そんな強引なところもなんか嫌いになれない。

むしろ、良き。

彼は私からボールを奪うと華麗にドリブルをしながら再びコートに戻った。

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