空よりも海よりもキミのことを知りたかった。
打ち寄せた波
高校2年の5月。
新学期開始から1ヶ月経ってしまった。
クラス替えでまた新たな関係を築けるチャンスではあったのだけれど、グループは出来上がってしまった。
私はそのどれにも属さず、大人しく心の平和を保ちながら生活していた。
そんな折、転校生がやって来た。
名前は、潮夏帆。
中学の時の私と同じような時代錯誤な髪型にメガネ姿で見るからに真面目そう。
どうやら生まれつき体が弱く、入院していたためこの時期に転校となったみたい。
最初は仲良くしようとしていた女子たちだったが、クラスのリーダー的存在の女子がいじめを始めると、忽ち女子全員がいじめに加担し出した。
男子たちは見てみぬふり。
私は......黙っていられなかった。
中学の時、私もいじめられていたからその痛みは見なくても聞かなくても心で感じる。
ヒーローになりたいとかそんなことは思わない。
ただ真っ直ぐに、空と海の青のように透き通った心でありたいと思ったんだ。
私は登校して来た潮さんのバッグを持ち上げ、ごみ箱に投げようとする女子たちに近づいていき、言った。
「やめて下さい」
女子のリーダー田辺さんが振り返る。
彼女の周りに女子生徒がさっと集まってきて私を睨み付ける。
その鋭い眼差しに胸を射ぬかれて私は一瞬息ができなくなった。
「何?あたしに口答えしたらどうなるか分かってるでしょ?」
「でもダメなものはダメなんです。いじめは犯罪です。やめて下さい」
私がそう言うと案の定体格のいい女子に突き飛ばされた。
背中とお尻を強打し、やがて全身に広がっていく。
立ち上がろうとしても目の前に一人がしゃがんで私の前髪を引っ張るものだから、抵抗出来ない。
「やめて!離して!」
「はっはっは!ばっかみたい!ヒーロー気取って助けられずに自分がいじめられる?は~あ、おっかしぃ!」
――はっはっは!
――はっはっは!
嘲笑う声が耳にこだまし、耳も心も痛い。
こんな人達に笑われてたまるか。
私はもう弱虫なんかじゃない。
「やめてって言ってるでしょ!」
新学期開始から1ヶ月経ってしまった。
クラス替えでまた新たな関係を築けるチャンスではあったのだけれど、グループは出来上がってしまった。
私はそのどれにも属さず、大人しく心の平和を保ちながら生活していた。
そんな折、転校生がやって来た。
名前は、潮夏帆。
中学の時の私と同じような時代錯誤な髪型にメガネ姿で見るからに真面目そう。
どうやら生まれつき体が弱く、入院していたためこの時期に転校となったみたい。
最初は仲良くしようとしていた女子たちだったが、クラスのリーダー的存在の女子がいじめを始めると、忽ち女子全員がいじめに加担し出した。
男子たちは見てみぬふり。
私は......黙っていられなかった。
中学の時、私もいじめられていたからその痛みは見なくても聞かなくても心で感じる。
ヒーローになりたいとかそんなことは思わない。
ただ真っ直ぐに、空と海の青のように透き通った心でありたいと思ったんだ。
私は登校して来た潮さんのバッグを持ち上げ、ごみ箱に投げようとする女子たちに近づいていき、言った。
「やめて下さい」
女子のリーダー田辺さんが振り返る。
彼女の周りに女子生徒がさっと集まってきて私を睨み付ける。
その鋭い眼差しに胸を射ぬかれて私は一瞬息ができなくなった。
「何?あたしに口答えしたらどうなるか分かってるでしょ?」
「でもダメなものはダメなんです。いじめは犯罪です。やめて下さい」
私がそう言うと案の定体格のいい女子に突き飛ばされた。
背中とお尻を強打し、やがて全身に広がっていく。
立ち上がろうとしても目の前に一人がしゃがんで私の前髪を引っ張るものだから、抵抗出来ない。
「やめて!離して!」
「はっはっは!ばっかみたい!ヒーロー気取って助けられずに自分がいじめられる?は~あ、おっかしぃ!」
――はっはっは!
――はっはっは!
嘲笑う声が耳にこだまし、耳も心も痛い。
こんな人達に笑われてたまるか。
私はもう弱虫なんかじゃない。
「やめてって言ってるでしょ!」