空よりも海よりもキミのことを知りたかった。

「あつっ」


最悪だ。

熱湯が左手にかかってしまった。


「手冷やして」

「大丈夫大丈夫。このくらいなんとも...」


なんともないと言おうとすると、俊敏にやって来た颯翔くんが冷水を出して私の左手を水に突っ込んだ。

熱湯のかかった場所よりも握られた手首の方が熱い。


「火傷を甘く見るな」

「ごめんなさい...」

「湿布とかあるか？冷えピタとかそういうのでもいい」

「確か冷蔵庫に冷えピタが...」


私はあっという間に応急措置を施された。

その早さに圧倒され、私は完全にフリーズした。

朝食も紅茶も冷めちゃったなぁ...。

なんて、食事の心配を出来るのはやはり元デブだからかもしれない。


「これで大丈夫だ」

「ありがとう...」


左手を見つめるとドキドキしてくる。

私のこの手に国宝級イケメンの手が触れたのかと思うとまともじゃいられなくなる。

胃が萎縮して今なら痩せられるかもしれない。


「あ、ああっ、あの...」

「何？」

「ご、ご飯食べるね。もう10時だけど...」

「どうぞ」


私は何度も美味しい美味しいと言いながら颯翔くんの作ってくれた朝食を食べた。

結局美味しいからぺろっと食べてしまい、ダイエットなんて言葉は私には似合わないと改めて痛感したのだった。