空よりも海よりもキミのことを知りたかった。
「電車も復旧したみたいだし、そろそろ帰る」

「そっか...」


冷めた紅茶をぐいっと飲み干した颯翔くんは私の数倍の速さでティーカップを洗い、手を拭くとリュックの中身を確認し、背負った。


「この服もスウエットも洗って返すから」

「うん...」


うん?

ってことは数日以内に確実にまた会えるってことだよね。

やった!

遂に学校でもお目にかかれる。


「あとひとつ。クッキー...美味しかった。前のやつよりも...」

「えっ...!そ、そう?!あり...がと...」


颯翔くん、顔赤い。

照れてるんだ。

私、照れさせるようなこと出来たんだ。

努力は必ず報われる。

その言葉、今ここで立証された。

諦めなくて良かった。

夏帆ちゃんとの合作より美味しいってさ。

私まで赤くなっちゃうよ。

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