空よりも海よりもキミのことを知りたかった。
土曜日、海くんは夏帆ちゃんのお弁当を美味しい美味しいと連呼しながら貪り食べていた。

私はそれを見て心の中で泣いていた。

心の中で泣きながら不格好なお握りをちびちびと食べ、練習風景を数分だけ見て自宅に戻った。

空っぽのお弁当箱を洗っている時に遂に一粒涙が流れた。

それに全ての思いが凝縮されていた。

気がついた時には海くんが好きになっていて、でも好きだって言えなくて幼なじみという都合の良い関係に甘えて一緒にいた。

そのバチが当たったのだろう。

だからこんなことになってしまったんだ。

海くんの理想像になりきれなかった私の負けだ。

ここは涙を飲むべきなんだろう。

そう分かってさらに切なくなって指が痺れてきた。

弁当を洗い終えるとすぐに自室に引きこもり、枕に顔を埋めて「わーっ」と叫んだ。

叫んだって状況も想いも変わらないのに無駄なことをしてストレスを発散させようとした。
< 8 / 112 >

この作品をシェア

pagetop