空よりも海よりもキミのことを知りたかった。
どこに向かっているのか予想がついた頃、やっとたっくんが私の腕を離した。
周囲に人はまばら。
ここは会場から離れているけれど花火が全体的に良く見える、知る人ぞ知る穴場スポット。
去年もこの先の歩道橋に来てそこから花火を見た。
会場の臨場感も、好きな人と2人きりという胸の高揚感も感じることなく、ただ切なくて痛くて苦しい中、花火が上がっては消えていくその刹那的な美しさをこの目で呆然と見つめていた。
そして今年もまた、同じ場所で同じような気持ちで花火をみるのだろうか。
それは...嫌だ。
私は歩くのを止めた。
足が痛いからというのもあるけれど、それ以上に心が痛かった。
下駄の軽快な音が聞こえなくなり、辺りに静寂が訪れる。
たっくんが振り返って私を見つめる。
その眼差しには黒く濁りきった感情が宿っていた。
「たっくん、あのさ、私...」
帰ると言おうとしたところでたっくんが口を挟んだ。
「俺が怒ってるの分かるよね?なんで怒ってるか分かる?周りの人間が碧萌を傷付けるようなことばっかりするからだ。海は碧萌の気持ちも知らずに、いや分かろうともせずにいつも碧萌に酷いことを平気で言う。夏帆ちゃんは悪気はないのかもしれないけど、碧萌の気持ちを考えたら今日ここにこさせるなんてできないだろ」
「たっくん、もういいよ」
私は大丈夫だから...。
そう言おうとして口をつぐんだ。
大丈夫...なんかじゃない。
大丈夫じゃないよ、私。
だけど...だけど...
我慢しなきゃならないのは私なんだよ。
たっくんは私の言葉なんか聞こえていないらしく、その後も続けた。
周囲に人はまばら。
ここは会場から離れているけれど花火が全体的に良く見える、知る人ぞ知る穴場スポット。
去年もこの先の歩道橋に来てそこから花火を見た。
会場の臨場感も、好きな人と2人きりという胸の高揚感も感じることなく、ただ切なくて痛くて苦しい中、花火が上がっては消えていくその刹那的な美しさをこの目で呆然と見つめていた。
そして今年もまた、同じ場所で同じような気持ちで花火をみるのだろうか。
それは...嫌だ。
私は歩くのを止めた。
足が痛いからというのもあるけれど、それ以上に心が痛かった。
下駄の軽快な音が聞こえなくなり、辺りに静寂が訪れる。
たっくんが振り返って私を見つめる。
その眼差しには黒く濁りきった感情が宿っていた。
「たっくん、あのさ、私...」
帰ると言おうとしたところでたっくんが口を挟んだ。
「俺が怒ってるの分かるよね?なんで怒ってるか分かる?周りの人間が碧萌を傷付けるようなことばっかりするからだ。海は碧萌の気持ちも知らずに、いや分かろうともせずにいつも碧萌に酷いことを平気で言う。夏帆ちゃんは悪気はないのかもしれないけど、碧萌の気持ちを考えたら今日ここにこさせるなんてできないだろ」
「たっくん、もういいよ」
私は大丈夫だから...。
そう言おうとして口をつぐんだ。
大丈夫...なんかじゃない。
大丈夫じゃないよ、私。
だけど...だけど...
我慢しなきゃならないのは私なんだよ。
たっくんは私の言葉なんか聞こえていないらしく、その後も続けた。