隣のシンタ


キーンコーンカーンコーン


〈早く帰ろうぜ!!〉

〈今日、タピオカ飲んで帰ろうよ~!〉

〈やべ、早くいかねーとまた先輩に怒られる!〉


みんなが思い思いに準備をして
げた箱に吸い込まれていく。

みんなにとっては放課後を知らせるチャイムが私には憂鬱さを爆発させる引き金になる。



『おーい!早くいかねーと!放送で公開処刑されるぞ!』


なんて私を呼ぶシンタは相変わらず呑気だ。


「なんでそんなに楽しそうなの??」

『ん??おっしえなーい!』

なんて無邪気に笑うシンタは
どこかあどけなくて、少年のよう。
こういうところがみんなの母性本能をくすぐるんだろうな。
って少し納得してしまう。

2人でしゃべりっていたら
いつの間にか職員室についていた。


〈おっ!ちゃんと来たな。俺のパシリたち。〉

『先生として問題発言だろ!!』


職員室につくと先生から歓迎の言葉とともに
山積みのプリントを指さされる。


〈あれがお前らの仕事ね~。今度の役員会議で使う資料なんだけど、3枚1組で100部よろしくね。〉

「100部!?」

〈うん、100部。〉

涼しい顔して、こんなこと言うなんて、
先生は鬼ですか?
ってすぐそこまででかかった言葉を飲み込む。


〈隣の空き教室使っていいからよろしくな~。〉


先生はこれから別の会議があるらしく、
手をヒラヒラと振って職員室から出て行った。


『先生ってあー見えて忙しいんだな。』

「失礼だけと暇してそーだもんね。」

『…じゃあ、まず運ぶか。』

「うん…そうだね。」

『よっ!!』


300枚すべてを抱えるシンタ。


「ちょっと待って!私も持つよ!」

『いいの。俺は女の子に重いもの持たせない主義なの。』

「…え?」


予想外+言われ慣れないセリフすぎて
なんか戸惑う。
こういう時ってなんて返すのが正解なんだろ…?
てか、こういうことシンタって
さらっと言えちゃうんだ。



「でも重いでしょ??半分持つよ。」


やっとの思いで出た言葉がこれ。
私ってどうしてもっと可愛い返事ができないんだろう…。


『大丈夫だって。しんちゃん男の子だよ??』

「そうだけど…。なんか申し訳ないし。」

『俺が勝手にやってるんだから。』

「ごめん。」

『え、何が?』

「え、持ってもらってるから。」

『だから気にすんなって。それにごめんじゃなくて、こういう時にはありがとうって言ってほしいんですけど!』


ってシンタが笑うから私も
なんでかつられて笑ってしまう。


「ふっ、そうだね!ありがとう!」

『はい!どういたしまして!』


シンタの笑顔にはなんか魔法がかかってるのかな?
シンタが笑うとなぜかつられちゃうんだよね。
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