隣のシンタ
『じゃ、今日からよろしくね?彼女さん!』
「ねぇ、恥ずかしから!」
『えっ?そう?やっとの思いでお前彼女にしたんだから、これぐらい許してよ!』
「あのさ…私、恋愛全くしたことなくて…その普通の女の子みたいなこと…出来ないよ?」
『今更何言っての?』
「えっ?」
『お前はお前だよ。他の子となんて比べなくていいし、そのままでいて。俺の隣で笑ってて?』
「シンタそんなこと言えるんだね。」
『ねぇ、めっちゃ俺の事バカにしてる!?』
「ふっ、してないしてない!」
こうやって2人で笑ってる時間が
1番好きだな。シンタも思ってたらいいな。
『てかさ、あと何枚か終わらせて早く弟くんのお迎え行こ?』
「えっ、なんでお迎えのこと知ってんの?」
『なんだけデカい声で話してたら廊下にいても聞こえるわ!!』
パッと時計を見ると、ほんとにヤバい。
「やばい!早くしないと保育園の先生にまた怒られる!!」
『よっしゃ!』
あと数枚だったのですぐに作業は終わった。
職員室にバタバタと資料を置き、
走って靴箱へ。
『ほら!間に合わないから走るぞ!』
「えっ?」
『もぉ、早く!』
握られた右手を引っ張られて走る。
男の人の手なんて初めて握った…。
こんなにおっきいんだ。
『俺ね、』
「はっ、はっ、ん?何?!」
こっちは万年帰宅部で
シンタの足の速さについて行くので
やっとなのに話しかけてくるなんて
何事かと思うと、
『俺ね、お前とこうやって笑ってる時間が1番好き!』
その笑顔が太陽と重なって
眩しかった。
ずるいって。
今、言うことじゃないって。
まぁ、そこがシンタらしいか。