転生令嬢の悪役回避術ー心を入れ替え女王になりましたー
「ヴァルテリ王太子殿下、いかがいたしましたか?」

「私はこの場である方の不正を暴きたいと思います。

皆さんの机上にある過去の財政記録をご覧ください。
これを見ると、災害が発生していないにもかかわらず、毎年予備予算が使われています。

使用用途を確認しても、緊急の為としか記載がなく、何に使われたのか一切わかりません。

予備予算の使用には財務大臣の許可が必要。
バードリー伯爵、何かご存じですか。」

ヴァルテリからバードリー伯爵へ質問が投げかけられたが、バードリー伯爵は一言も発しなかった。

「このまま発言しないようでは、伯爵自身も不正にかかわっていたとみなし、王太子の権限を持って罷免にしますが、よろしいですか。

まぁ、私はバードリー伯爵自身が予備予算を着服したと考えていますが。」

ついにバードリー伯爵は堪忍袋の緒が切れたらしく、机を強くたたき、反論した。

「お前らが議会に出席しなければ、すべてがうまくいった。

そうだよ、俺が予備予算を持ち出したんだ。
家の改築にはお金が必要だった。
それなにに、自分の領地を持っていないがために領地からの収入はなし。

貴族としての体面を保つためにはお金が必要だった。
財務大臣になれたのだから、使えるものは使おうと思った。

それが悪いのか?」

ヴァルテリに今にもとびかかろうとしていたバードリー伯爵はほかの貴族に押さえつけられていた。

「これで証拠は十分でしょう。
ここにいる人を証人とし、ヴァルテリ・アルヴァドスは財務大臣バードリー伯爵を罷免します。

後任の財務大臣に関しては国王と話し合い、決定します。

議長、お返しいたします。」

ヴァルテリから議長へ発言権が返され、議長は閉会の挨拶をした。
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