転生令嬢の悪役回避術ー心を入れ替え女王になりましたー
翌日、アイリーンとヴァルテリが起床したのは太陽がだいぶ昇ってからだった。

「おはようございます。
サンドイッチと紅茶をお持ちいたしました。」

アイリーンとヴァルテリは朝食を食べる前に政務室へ向かってしまったので、リンネがふたり分の朝食を届けた。

ふたりはサンドイッチを受け取ると、作業を一時中断し食事を始めた。

そして食事を終えると少し休憩し、またすぐに作業に取り掛かった。

今日の作業は合格者に送る書類の作成が主だった。

合格者ひとりひとりに手書きの合格書類を書く必要があったのだ。

今回の合格者が３６人だったので、ふたりのみでこの作業はすることになった。

ふたりが黙々と作業をしていると、政務室の扉をノックする音が聞こえた。

アイリーンが政務室の扉を開けると、そこに待っていたのは泣きそうになっているハイメだった。

ハイメを政務室の中に招き入れたアイリーンはソファーにハイメを座らせると先ほどリンネがサンドイッチとともに持ってきたクッキーと紅茶を目の前に置いた。

「ハイメ、どうしたの？」

サクラの姿が見えなかったので、泣きそうになっているハイメに聞くしかなかった。

「あのね、あのね。
サクラが僕のこと無視するの。

僕、何もしたつもりないのに…」

どうやらハイメが何かをしたらしく、サクラを怒らしてしまったようだった。

「ヴィック、サクラをここに連れてきてほしいの。
たぶん、ティーナ伯爵夫人とレッスンをしているはずですから。」

ハイメがアイリーンの手を握ったまま話してくれなかったので、アイリーンはヴァルテリに頼み政務室にサクラを連れてきてもらうように頼んだ。
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