転生令嬢の悪役回避術ー心を入れ替え女王になりましたー
謁見の間を後にしたアイリーンが向かったのはサクラとハイメのもとだった。

「王妃陛下、いかがいたしましたか？」

アイリーンのとき同様、サクラとハイメの教育係をしていたティーナ伯爵夫人が急に入ってきたアイリーンに驚いていた。

「ティーナ伯爵夫人、急にごめんなさいね。
ちょっとサクラとハイメに話したいことがあるの。」

「それでは、私は一度失礼いたします。
お話が終わったころ、また戻ってきます。」

そういい終えるとティーナ伯爵夫人は部屋を後にした。

「お母様、お話ってなんですか？」

「あなたたちのお父様がもうすぐお仕事を終えて戻ってくるわ。

そしたらあんまり時間は取れないかもしれないけど、家族でどこかに出掛けましょうね。

ずっとお父様に会ってないから、ふたりがここまで勉強習ったんだよっていうのもせっかくだから見せてあげてね。」

「うん、じゃなくてはい！
お父様に見せる！」

たったふた月、されどふた月、サクラとハイメはティーナ伯爵夫人によって苦手だった算学と地理を少しではあるが、克服することができたのであった。

グランディエ辺境伯領から王都までは馬で三日ほどかかる。

アイリーンは早く戻ってきて欲しいとその日を指折り数えながら待っていた。
< 156 / 213 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop