転生令嬢の悪役回避術ー心を入れ替え女王になりましたー

「王妃陛下……
謁見を……

私は、第一部隊隊長のオスカー・ジャフィーと申します……」

血に染められた青の軍服を着た騎士が王宮にやってきたのは翌日のことだった。

血を見たことのない侍女などもいたため、王宮内はパニックになっていた。

アイリーンも血を見ることには耐性がなかったため、今にも倒れそうなくらいふらふらしていた。

しかし、今この王宮を守っているのは自分だと言い聞かせ、侍従に支えてもらいながら、空き部屋に入った。

「何があったのですか？
キール帝国には勝利したときいたのですが……」

「キール帝国から奇襲を受けました。
グランディエ辺境伯領に攻め入ったものとは別の部隊がいたらしく、王都へ向かう途中の道で……

我々もまさかこちらの領土に侵入しているとは思わず、このような状況に……

まるで国王陛下がいつ現れるのかを知っているかのようでした…

怪我をしていなくても疲弊により満足に戦えないところに奇襲を受けたため、まともに応戦できず、多くの騎士が怪我を負っています。

どうか、お助けを……」

そう言い終えるとオスカーはその場に倒れ込んだ。

出血が激しいため、どうなるかはわからないが、側に控えていた侍従が医師を呼び、オスカーは医務室へと運ばれた。

「第二部隊を残して、応援に向かってください。
もしここまでキール帝国が乗り込むようであれば、私は命をかけてここを守ります！」

外に控えていた騎士を中に呼び、アイリーンは高々と宣言した。

騎士達は準備を進め、オスカーが言っていた方角へ向けて馬を走らせた。