転生令嬢の悪役回避術ー心を入れ替え女王になりましたー
「アイリーン、ひとつ気になったことがあったのだが。
届いたドレスや小物が少なかったように思えたのだが、気のせいか?
それにビーズやレースなどもいろいろ届いたからしまってあるが、何か手芸でもするのか?」
アイリーンが送ったドレスは季節ごとに10着程度。
そしてアクセサリーなどの小物は20種類程度だった。
普通の貴族令嬢なら毎シーズンごとに流行りを取り入れるため、何着も新調し、広い部屋がすべて衣装などで埋まってしまうのだった。
「気のせいではありませんわ。
私、ドレスはここに持ってきたものしか持っていません。
小物は少しだけ置いてきたけれど、多分すべて足しても30あるかないかです。
ビーズとかは自分でドレスの手直しをする際に使用しています。
毎シーズンごとに新調するのが普通なのかもしれないのですが、そんなに大きくは流行って変わっていないんです。
だから、キラキラしたドレスが流行ったときは持っているドレスにビーズをつけてアレンジして、フリルのついたものやふわりとしたドレスが流行ったときは細身の持っているドレスにレースをつける。
こうすることで同じドレスだって気づかれることはなくなります。
一回、膝丈のドレスが流行ったことがあったのですがその時にはこれを使用しました。」
そういってアイリーンが見せたものは一着のドレスだった。
一見、普通の細身のドレスに見えるのだが、付属のリボンを外し、ボタンを外すと右側のほうが少しだけ裾の長い斜めカットされたドレスに早変わりした。
「その技術はすごいと思うけど、どうして新しいドレスを買わないのだ?
新しいドレスのほうが楽だろう。」
「確かに購入したほうが楽だし、間違うこともありません。
でも、それって無駄なお金を使っているのではないでしょうか。
領民から税金としてもらい、そのお金を領地で使うのであれば、回るからいいのですが、仕立て屋は王都にしかない。
つまりお金が出ていくだけ。
それに領主のお金が足りなくなれば税金を増やせばいいと思うかもしれませんが、それでは民が疲弊してしまいます。
だから私は自分でできることはしたり、できないものもリンネに助けてもらいながらやっています。」
アイリーンがなぜこのようなことをするのか知ったヴァルテリは少しだけ感動したらしく、涙をこらえるように目じりをおさえていた。
「もしかして、新しいドレスよりもレースとかのほうがよかったか?」
今になってドレスのプレゼントは間違っていたのではないかと感じたヴァルテリはアイリーンにそう問いかけ、アイリーンの返答を固唾をのみながら待っていた。
「いいえ、とっても嬉しいです。
私、両親以外からプレゼントをもらったことがなくて、こんなにうれしい気持ちになるなんて知りませんでした。
ありがとうございます、ヴァルテリ様。」
「喜んでくれてよかった。
もし、レースとかが欲しくなったら、大公の領地にある店で取り寄せるからってほしい。」
「ありがとうございます、ヴァルテリ様!」
届いたドレスや小物が少なかったように思えたのだが、気のせいか?
それにビーズやレースなどもいろいろ届いたからしまってあるが、何か手芸でもするのか?」
アイリーンが送ったドレスは季節ごとに10着程度。
そしてアクセサリーなどの小物は20種類程度だった。
普通の貴族令嬢なら毎シーズンごとに流行りを取り入れるため、何着も新調し、広い部屋がすべて衣装などで埋まってしまうのだった。
「気のせいではありませんわ。
私、ドレスはここに持ってきたものしか持っていません。
小物は少しだけ置いてきたけれど、多分すべて足しても30あるかないかです。
ビーズとかは自分でドレスの手直しをする際に使用しています。
毎シーズンごとに新調するのが普通なのかもしれないのですが、そんなに大きくは流行って変わっていないんです。
だから、キラキラしたドレスが流行ったときは持っているドレスにビーズをつけてアレンジして、フリルのついたものやふわりとしたドレスが流行ったときは細身の持っているドレスにレースをつける。
こうすることで同じドレスだって気づかれることはなくなります。
一回、膝丈のドレスが流行ったことがあったのですがその時にはこれを使用しました。」
そういってアイリーンが見せたものは一着のドレスだった。
一見、普通の細身のドレスに見えるのだが、付属のリボンを外し、ボタンを外すと右側のほうが少しだけ裾の長い斜めカットされたドレスに早変わりした。
「その技術はすごいと思うけど、どうして新しいドレスを買わないのだ?
新しいドレスのほうが楽だろう。」
「確かに購入したほうが楽だし、間違うこともありません。
でも、それって無駄なお金を使っているのではないでしょうか。
領民から税金としてもらい、そのお金を領地で使うのであれば、回るからいいのですが、仕立て屋は王都にしかない。
つまりお金が出ていくだけ。
それに領主のお金が足りなくなれば税金を増やせばいいと思うかもしれませんが、それでは民が疲弊してしまいます。
だから私は自分でできることはしたり、できないものもリンネに助けてもらいながらやっています。」
アイリーンがなぜこのようなことをするのか知ったヴァルテリは少しだけ感動したらしく、涙をこらえるように目じりをおさえていた。
「もしかして、新しいドレスよりもレースとかのほうがよかったか?」
今になってドレスのプレゼントは間違っていたのではないかと感じたヴァルテリはアイリーンにそう問いかけ、アイリーンの返答を固唾をのみながら待っていた。
「いいえ、とっても嬉しいです。
私、両親以外からプレゼントをもらったことがなくて、こんなにうれしい気持ちになるなんて知りませんでした。
ありがとうございます、ヴァルテリ様。」
「喜んでくれてよかった。
もし、レースとかが欲しくなったら、大公の領地にある店で取り寄せるからってほしい。」
「ありがとうございます、ヴァルテリ様!」