転生令嬢の悪役回避術ー心を入れ替え女王になりましたー
「アイリーン様、さすがです。
予定していた時間よりも早く終わったので、レース編みの時間を早めますか?」

きっと今までのアイリーンならば早めると言っていただろう。
しかし今回は言わなかった。

「お願いがあります。
晩餐会での実践的なマナーを教えてください。

今まではお母さまがホストとしてもてなしていたのですが、私ももう大人の仲間入りをしました。

きっとこれからは私がホストとなることが増えると思うので。」

オベリア王国では各家庭で客人を招き晩餐会が開かれるとき、ホストとなるのは主催者の妻の役割であった。

客人を満足させられるかはホストの手にかかっており、晩餐会が開かれる数週間前からその準備は開始される。

晩餐会の成功、すなわちそれが今後の飛躍にもつながる。

「かしこまりました。
それでは本日は私が解説を加えながらホスト役を務めますので、アイリーン様は覚えてください。

私の食事はないのでフリになりますがよろしいですか?」

「私の分の食事をふたりで分けましょう!
朝から量が多くてあまりおなかがすいていないので…

リンネ、いる?
厨房に行ってきて私の分の食事をふたり分に分けてほしいんだけど、伝えてきてくれる?」

隣の部屋で待機していたリンネはアイリーンの前へ現れると「かしこまりました」とお辞儀をしたあとアイリーンのもとを去った。

「アイリーン様、ありがとうございます。
アイリーン様がしっかりと学べるように頑張りますので、よろしくお願いします。」
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