転生令嬢の悪役回避術ー心を入れ替え女王になりましたー

門のところまで行くと中から勉強をしているような声が聞こえた。

アイリーンとヴァルテリは孤児院の門を開け、中へ入っていった。

廊下から中の様子を見ると文字を書く練習をしている所のようだった。

子どもたちは自分に与えられた書いては消せるミニ黒板のようなものに一生懸命習った文字を書いていた。

しばらくの間、廊下から見ていると、中の先生が気がつき、アイリーンたちを教室に招き入れた。

「本日ボランティアにお越しくださったヴァルさんとアリさんですよね。
お待ちしておりました。」

ヴァルテリは「はい、そうです。」と笑顔で答えた。

この瞬間にアリというのはアイリーンの偽名であると気がつき、アイリーンも笑顔で「よろしくお願いします。」と答えた。

「皆さん、こちらを見てください。
今日はボランティアのお兄さん、お姉さんがこちらに来てくれました。

今日は皆さんに勉強を教えてくれるそうなので、よかったですね！

まずは、ひとりひとり前へ出て、黒板に自分の名前を書きながら、お兄さん、お姉さんに自己紹介をしましょう。」

最初にアイリーンとヴァルテリが偽名ではあるが自己紹介をし、その後は順番に子どもたちが自己紹介をした。

子どもたちはみな、自分の名前をすらすらと書くことができ、ちゃんと勉強をしているということは一目瞭然だった。