転生令嬢の悪役回避術ー心を入れ替え女王になりましたー

アイリーンが起きたのは翌日になってからだった。

宮廷医の診察を受け、身体に問題がないことの確認を受け、宮廷医にお礼を言い、迎えに来たヴァルテリと子供たちの名前の確認をした後、ふたりで医務室を後にした。

「父上と母上が待っている。
ゆっくりでいいから、一緒に行こう。」

アイリーンのことを支えながらヴァルテリは歩き、ふたりの部屋の向かいにある子どもたちの部屋に案内された。

「おっ、来たな！
アイリーン、お疲れ様！」

「アイリーン、出産した後はまだまだ体調が変わりやすいので、無理はしないでくださいね。」

中で待っていたルーメンティーとカルロティーは女の子をアイリーンに、男の子をヴァルテリに抱かせると、名前を聞いてきた。」

「この子たちの名前はもう考えてあるのか？」

先に答えたのはヴァルテリだった。

「この子はハイメです。第一王子、ハイメ・アルヴァドスです。」

国王はいい名前だと何度も頷きながら、ハイメに挨拶をしていた。

「この子はサクラです。第一王女、サクラ・アルヴァドスです。」

「サクラ？
珍しい名前ですね。」

「サクラは私の国で咲く花です。
この国ではスリジエと呼ばれています。」

アイリーンは自分には前世の記憶があることを前にリンネにしたように３人にも説明した。

「まさか、アイリーンにはそんなに悲しい過去があったなんて…

コウノドリ？もその時の記憶があるからなのか。」

ヴァルテリはアイリーンのすべてを受け入れ、アイリーンに向かって思いっきりほほ笑んだ。

「そうよ、アイリーン。
神さまは人生を謳歌するためにアイリーンとして生を与えたのよ。

でも、アイリーン。
あなたは物語のようには処刑されないから安心しなさい。」

物語では悪女として処刑されるアイリーンだが、今は何でも話し合える家族がいる。

アイリーンはそれをあらためて実感し、この世界で生きることができてよかった。と心の中で思った。