幼なじみの彼は王子様
教室を一つ一つ見て回ったけれど、どこにもいない。

まさか上履きで帰ったとか?

そんなことを考えながら歩き進めると、屋上へ続く階段の前まで来た。

屋上は無断で立ち入ることを禁止している。
噂では、屋上の鍵は壊れていてかかってないとか言われているけど、どうなんだろう?

周囲に人影がないことを確認して、階段を一段一段丁寧に登っていく。

恐る恐るドアノブに手をかけると、あっさり空いてしまった。

「だれかいますか?」

完全にドアを閉じるのが怖くて、転がっていた石を挟んでからドアから手を離す。

「あの〜」

屋上から見る景色はとても綺麗。

「もう夜になるのか」

星がうっすらと輝き出した空はまだ昼間の明るさも残っている。

やっぱり瑠衣は帰ってしまったのかな?
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