未来は霧のなか
3

「浩子って、処女?」

美佐子が私に聞く。




授業前の音楽室。



美佐子と私は、音楽を選択していた。


「そうだよ。」

私は驚いて、美佐子を見る。

美佐子は 悪戯っぽい目で、少し笑う。
 

「へえ。好きな人、いないの?」

美佐子は ピアノを弾きながら言う。
 
「中学の時、同じクラスの子で、ちょっと良いなって 思っていた子は いるけど。」

私は、少し照れながら言い、
 

「美佐子は 違うんでしょう。いつ 初体験したの?」

私も、思い切って聞く。
 
「私?私は、中2の夏。」

と答えて、美佐子はショパンを弾く。
 

「えー。中2。早い。」

私は、驚いて 美美佐子の顔を見る。
 

「相手は?西中の人?」

と続けて聞くと、
 
「2コ上の先輩。」

美佐子は軽く言う。
 

「付き合っているの?その人と。」

私の言葉に、美佐子は 笑って首を振り
 
「まさか。その頃だって、別に 付き合っていなかったし。」と言った。
 


付き合っていなくても、体を許すって、どういう関係なのか。


私は、初体験は 好きな人としたい。



美佐子は、軽くメロディを口ずさみながら、ピアノを弾き続けていた。
 
 




< 10 / 136 >

この作品をシェア

pagetop