未来は霧のなか
夏休みでも 何も予定がない私は 制服を着て 真面目に水泳の補習に通う。
交替で監視している 体育の先生は、出席を取ると ずっとプールサイドに座っている。
私達は 水に入ったり、プールサイドで 寝そべって話したり。
スクール水着でなければ、学校だと思えないくらい 自由な時間。
「浩子、好きな先生 決めようよ。」
うつ伏せに寝そべって、美佐子が言う。
「決めるって?」
眩しいプールサイド。
少し顔を上げて 私は聞き返す。
「恋愛ごっこ、しようよ。学校に 男子いなくて、つまんないからさ。」
美佐子は 笑いながら言う。
「好きなふり、するの?」
私の言葉に頷いて、
「そう。朝、顔を見たとか、話したとか。本気で好きな人みたいに、ドキドキするふりをするの。」
美佐子は、真剣に言う。
私は、声を出して笑ってしまう。
「えー。そんなことしていて、本気で好きになったら どうするの?」
笑いながら 美佐子に聞くと、
「その時は、本気で落とす。」
と言って、私に頷く美佐子。