未来は霧のなか

中年の先生と、女の先生が多い女子校。

恋愛ごっこの 対象にできるような先生は、数人しかいない。
 

「私は、信太郎にしようかな。」

美佐子は、生活指導の先生を 候補に挙げる。

恋愛ゲームは楽しそうで、私は 引き込まれていく。
 
「私は、絶対、藤田。」

私は、体育教師の名前を言う。
 


元々、私は 藤田先生に、好意を持っていた。

20代後半で、短髪で。

身長は あまり高くないけれど、筋肉質で。

いかにもスポーツマンらしい藤田先生。
 


「えー。浩子、ああいうタイプが好み?」

美佐子に笑われて

「笑わないでよ。美佐子こそ。信太郎って 有り得ないでしょう。」

と笑い返す。
 


前島信太郎は、国語の先生。

30才くらいで、ヒョロっとした インテリ風。


私の好きな藤田先生とは、正反対のタイプ。

二人とも 生活指導を担当している。
 

「どっちかが落としたら ゲーム終了ね。」

と言う美佐子。
 
「私、落とさなくていい。片思いゲームにしようよ。」

恋愛経験がない私は、消極的になる。
 
「弱気だな、浩子。駄目だよ、処女 捨てるくらいの覚悟で やるんだからね。」

悪戯っぽく笑う美佐子。


美佐子は 何を考えているのだろう、と私は 美佐子を見つめた。
 
 


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