未来は霧のなか

『ライフ』というプレートが張ってある、木のドアを 美佐子は押す。

外から見ただけでは、そこが何の店なのか わからない。
 
「早いけど、いい?」

カウンターとテーブル席が4つだけの 小さな店。

カウンターの棚には、色々なお酒の瓶が並んでいる。

一人で作業をしている男性に、美佐子は声を掛ける。
 

「おお。珍しいな、こんな時間に。」

中の男性は、笑顔で頷いて 美佐子に言う。
 
「高校の友達の浩子。」

カウンターに腰掛けて。

美佐子は私を紹介する。
 

「へえ。高校の友達、初めてじゃん?」

先輩は、私達の前に 水と灰皿を置いた。
 
「みんな、家、遠いから。」

美佐子は、先輩に説明すると、
 
「拓巳先輩。」

と、私に先輩を紹介した。
 
「どうも。」

と頭を下げる私を、拓巳先輩はケラケラ笑い、
 


「美佐子、ちゃんと高校行っている?」

と気さくに話しかける。
 
「はい。案外、成績もいいです。」

と私は答えた。

先輩は、声を出して笑い、
 

「信じらんねえ。美佐子、テストとか、できんの?」

と美佐子を見た。




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