未来は霧のなか
「それより美佐子、幸也って誰よ。私、そっちの方が 気になるよ。」
私は、教室に向かいながら 美佐子に聞く。
美佐子とT市で会って、まだ4日しか経っていない。
あの日から 私は 自分の部屋で 煙草を吸っていた。
「また、ライフにおいでよ。今度、幸也にも会わせてあげるよ。」
と美佐子は笑う。
教室に入ると、美佐子は 私に チョコレートの箱を差し出す。
「そろそろ、無くなるでしょう。」
意味深な笑顔の美佐子。
チョコレートの箱の中に、マルボロが すっぽりと入っていた。
「ありがとう。どうやって買うのか、美佐子に 聞こうと思っていたの。」
私は、チョコの箱を ポーチに入れて、カバンの底に隠す。
「浩子じゃ、コンビニでも買えないよ。無くなりそうになったら言いなよ。持って来るから。」
美佐子は、得意気に言う。私は
「ありがとう。お願い。」
と言った。