未来は霧のなか
6
「ねえねえ。美佐子、昨日はどうだった。」
毎日は 平穏に過ぎていく。
9月が 終わりに近づいた頃、美佐子は とうとう、信太郎に家まで 送らせることに成功した。
「全く、信太郎って最低の奴だよ。」
教室に入ると、私は すぐに美佐子に聞いた。
美佐子は、意地悪な含み笑いをして言う。
「どうしたの。」
私は、もう一度聞く。
「あいつ、私にキスしてきたよ。」
美佐子は 事も無げに言う。
「えー。嘘。マジで。」
私は驚いて、大きな声を出す。
美佐子は、私の口を押える。
「ちょっと、順番に説明してよ。」
聞き返す私に、
「みんな来てからね。」
と、美佐子は 余裕の笑顔で答えた。