未来は霧のなか

私はあまり、美佐子に 電話をしない。

地元の仲間と 遊んでいる時、美佐子は 電話に出ないから。
 


本当は、昨夜 美佐子に電話して 聞きたかった。

でも、美佐子が出ないと 嫌だから。

何かあれば、美佐子から 電話してくるはず。
 


「昨夜、電話 待っていたんだよ。」

私は、美佐子を見て 口を尖らす。
 


「ごめん、ごめん。信太郎と別れた後、遊びに行っちゃったから。」

美佐子は、手を合わせて 拝むような仕草をした。
 


「で信太郎、キス 上手だった?」


私は、少し躊躇して 美佐子に聞く。


美佐子は、ケラケラ笑って
 


「ドヘタ。」


と言った。


 
 
< 25 / 136 >

この作品をシェア

pagetop