未来は霧のなか
藤田に対する気持ちも、複雑に変化していた。
美佐子の狙いが 信太郎ではなく 藤田だったら。
藤田も 同じことを したかもしれない。
大人なんて、結局 同じ。
藤田の はにかんだ笑顔や 真っ直ぐ見つめる視線を、私は思い出す。
藤田は違う と思いたい私がいる。
青春ドラマの 熱血教師のように。
藤田は 心から 生徒を思う教師でいてほしい。
私達が 求めているものを、きちんと理解して 導いてほしい。
美佐子が 欲しかったのは、別の物だから。
“恋愛ゲーム” と言っていても。
美佐子は、信太郎と 恋愛がしたかったわけじゃない。
多分、私も。
藤田に、受けとめてほしいだけ。
理由のわからない イライラを。
焦りや不安を。
弱い自分を。
それでいいんだよ、と言ってほしかっただけ。