未来は霧のなか
「なんか、昭和っぽい店だね。」
私が言うと 美佐子は、笑って頷いた。
2階には 赤いソファの ボックス席が5つ。
私達は、窓際に座る。
「いらっしゃい。」
さっきの女性が、水とメニューを 持って来る。
その人は、思ったよりも 年を取っている。
多分、私の母と 同じ年頃。
「私、ブレンド。浩子は?」
美佐子は、メニューも開かずに言う。
「私も。」
店内を キョロキョロ 見回していた私は 美佐子を見て言う。
「じゃ、ブレンド2つで。あと、灰皿 貸してもらえますか。」
美佐子は、躊躇せずに言う。
その人も、普通に頷いた。