未来は霧のなか
「やっぱり 恵美の話し 本当らしいよ。T市の『ロイヤル』っていうクラブに 警察が入って。そこにいた高校生が 補導されたみたい。」
放課後 私達は『野ばら』に集まった。
輝美は お姉ちゃんに聞いたことを みんなに報告した。
「そのクラブ 前から 大麻で目を付けられていたらしい。美佐子の他に 美由紀先輩のグループの 玲奈先輩もいたみたい。」
輝美の言葉に 頷きながら、
「いつか、こんな事に なるような気がしていたんだ。」
と典子がポツンと言う。
みんなが無言で頷く。
「そうだよね。美佐子 地元のことは 何も話さないし。浩子は何か聞いていた?」
千恵に言われて、私は 首を振って言う。
「クラブに行くことは 言っていたけど。大麻のことは聞いたことないよ。」
学校帰り 毎日二人で『野ばら』に寄っていても。
美佐子の真似をして 煙草を吸ってみても。
私と美佐子の距離は 変わらない。
美佐子には地元の付き合いがあるから。