未来は霧のなか

「いつ言おうか、ずっと考えていたんだ。」

と言った亮太の言葉に 私は クスクス笑う。
 


「何だよ。」と言われて
 
「最近 よく会うと思った。もしかして 私を待っていたの。」

と私は聞く。


正直に コクリと頷く亮太。


私は、初めてのときめきに 頬を染める。
 

「ありがとう。」

と小さく言う私に
 
「うるせえよ。」

と亮太は、私の頭を 小突いた。
 



告白が 二人をぎこちなくさせて、その後 電車の中でも、いつものように 軽く話せない。
 


「なんか、意識しちゃうよ。中村君、普通にしてよ。」

と私は言う。


甘い空気は 嬉しいけれど。

気詰まりで、息苦しくなる。
 


「そうだよな。今まで通りにしよう。」

と亮太も頷く。


亮太の目は 愛し気に私を見つめている。



私は、甘い居心地の悪さを 初めて感じていた。
 





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