未来は霧のなか
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私が入学した 桜宮女子高校は、家から電車で一駅。
県立高校の中で、真ん中くらいのレベル。
選びやすい学校だから、同じ中学の子も多い。
本当は、もう1ランク上の M高校に行きたかった私。
でも合格ライン ギリギリで。
親にも 担任の先生にも 止められた。
「もし落ちて、私立に行くなんて。大変じゃない。」
“県立神話” が強い 地方だから。
母は眉をしかめる。
「ギリギリで合格しても、入ってから苦労するよ。」
担任の先生は、クラスから 不合格者を出したくない。
「わかったよ。桜宮でいいよ。」
私だって、落ちることは 嫌だから。
納得して、桜宮女子高校を 受験したけれど。
でも入試は、かなり良くできた。
M高校でも、確実に 合格していた。
無理してでも、M高校を 受ければ良かった。
私は段々、みんなに 言い包められた気がしてくる。
だから、喜んで 桜宮女子高校に入学したわけじゃない。
ここでやりたい事もないし。
最後は 自分でも、納得して受験したはずなのに。
反抗期の始まりは、自分勝手で理不尽だった。