未来は霧のなか
「罰として、手を繋げ。」
亮太は急に、偉そうに言う。
差し出された手を 握った途端に、二人は 照れて黙り込む。
「ごめんな。俺 言い方、気を付けるからさ。」
私の手を、ギュッと握って 亮太が言う。
「うん。私も。ごめんね。」
スキンシップは 言葉以上の効果。
微笑み合って歩き出す。
電車の中も 動物園でも 私達は 中学生の頃と同じように 冗談を言っては笑い合う。
リラックスして、楽しくて。
手を繋いでいることで ちょっとだけ甘くて。
どう見ても 高校生の亮太と私。
動物園は、私達にぴったりの デートスポット。
それを、物足りないと思ってしまう私。
あまりにも健康的で。
微笑まし過ぎて。
手を繋ぐだけで、ドキドキしてしまう自分も。