未来は霧のなか
誰よりも最初に、美佐子に 話し掛けたことで、クラスメイトは 私に一目置く。
私は、子供っぽい 普通の外見なのに。
みんなが まだ様子を探っている時に、簡単に 美佐子と仲良くなったから。
そして、私と一緒にいることで みんなが美佐子に話しかけやすくなった。
いつの間にか、美佐子と私のまわりには、明るくて活発な子達が 集まってきた。
典子、あゆみ、千恵、輝美。そして、美佐子と私。
自然と6人で行動するようになる。
一緒にお弁当を食べて、休み時間は 教室の後ろに 集まって騒いで。
他の生徒達は 私達のことを、羨ましそうな、迷惑そうな、複雑な目で見ていた。
仲間になりたいけれど、なれない。
何か言いたいけれど、言えない。
「典子、うるさいって。」
昼休み、大きな声で笑う典子に、数人の生徒が 振り向いた。
その視線に 気付いた輝美が言うと、
「いいよ。休み時間なんだから。」
と一言、美佐子が言う。
振向いた生徒達は、気まずそうに 前を向く。
「美佐子が言うと、迫力あるね。」
私が茶化すと、
「人をボス猿みたいに。」
と美佐子は、私の頭を小突く。
美佐子と私の掛け合いに、仲間達は 笑うけれど。
他の生徒は、きっと怖いと思っている。
入学して間もなく。
私達はクラスで、スクールカーストの 上位を手にしていた。