未来は霧のなか
「私も『野ばら』に、最近行っていないなあ。」
私が、ポツンと言うと
「浩子 毎日 彼氏と会っているの?」
と美佐子は、驚いた声で言う。
「うん。駅で待ち合せして。今は、図書館で一緒に勉強しているよ。」
私が答えると、美佐子は 高い声で笑い
「高校生らしい恋愛、しちゃって。でも、その方が 浩子に合っているよ。」
と言った。私は、馬鹿にされた気分で
「だって。高校生だもん。仕方ないでしょう。」
と言ったけれど。
美佐子の強がりだと気付いていた。
美佐子は 帰る場所が なくなることを 恐れている。
やっと 築いた居場所だったはずなのに。
自分で壊したから。
自業自得だけど。不安だったと思う。
「2年になると、進路でクラス分けするんだって。美佐子、希望はどうするの?」
と聞いた私に
「進路か。卒業することが先だね、私の場合。」
と美佐子は答えた。