未来は霧のなか

図書館デートの 効果は絶大で。

試験は、高校生になって 一番よくできた。


期末試験が終わってから、終業式までは 午前授業になる。

私は、毎日 亮太の家に寄っていた。
 

「ねえ。こんなに来ていて、お母さんに 何か言われないの。」

私が亮太に聞くと、
 
「何も言わないよ。別に 悪い事 してないし。」

亮太は、私を抱き締めて言う。
 
「こういうことも?」

亮太の胸に 寄り掛かり、聞き返す私。
 
「そう。これは良い事だから。」

と言って、亮太はキスをした。
 


「ヒロ。クリスマスは おしゃれなお店で ご飯たべようか。」

亮太は 優しく言う。
 
「いいね。私、おしゃれするね。」

私は歓声を上げる。
 
「ホテルのレストランは 無理だけど。ちょっと大人っぽい所 予約しておくね。」

いつか私が ホテルのレストラン と言ったことを 亮太は覚えていた。
 
「うん。ありがとう。」

私は 自分から 亮太の首に抱き付き、キスをした。
 

「ヒロ。」

と名前を呼んで 亮太は 切ない目で私を見る。

私は、小さく首を振り
 
「ダメ。まだ怖いの。」と言う。


私は ずっと亮太にブレーキをかけていた。

本当に怖かったから。


キスだけで 変わってしまった自分が。

もし 亮太と 結ばれたなら、もっと 変わってしまいそうで。
 


「いいよ。待つから。」

そう言いながら、亮太は 私の胸に 手を滑り込ませる。
 


< 76 / 136 >

この作品をシェア

pagetop