未来は霧のなか

午前中で終わった始業式。
 
「ねえ、どこかでお昼、食べようよ。」

以前のように美佐子が言う。
 
「ごめん。私、リョウと待ち合せ。」

私が言うと、
 

「私もバイトだから。急いで帰らないと。」

と輝美も言う。


他の3人も それぞれに予定があり 美佐子と 寄り道ができない。
 

「何だよ。久しぶりに 学校に来たのに。つまんないなあ。」

と言う美佐子。


少し寂しそうで、胸が痛んだけれど。


みんな、自分の生活があるから。



「ごめん。そのうち みんなで予定 合せようよ。」

とあゆみの言葉に、みんなが頷いて別れた。


美佐子は 疎外感を 味わっていたと思う。

停学の間に 仲間達の生活は 変わっていたから。



でも、それぞれが 前に進んだだけ。

みんなが 自分の為に 生きている。
 


私にとって、美佐子は 大切な友達だけど。

今は 美佐子よりも、亮太と過ごす時間を 優先してしまう。


美佐子には 美佐子の世界があるけれど。

亮太は 全部を 私に向けてくれるから。
 


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