未来は霧のなか
翌日も、亮太からは 連絡がなかった。
帰りに いつも待ち合せている、改札口の前に 行ってみたけれど。
亮太はいなかった。
私は 一人で家に帰る。
亮太と喧嘩したことは 仲間には 言わなかったから。
誰かと 寄り道をすることも できなかった。
いつもより 早く家に帰って 私は 一人でぼんやりしていた。
亮太のことが 好きなのかさえ わからなくなっていた。
亮太と一緒にいると 楽しい。
キスをして 触れあっていると 不思議な愛しさを 感じるけれど。
それは 初めての経験だから なのかもしれない。
相手が 亮太じゃなくても 感じる思い なのかもしれない。
亮太はいつも 温かい瞳で 私を見てくれるけれど。
亮太だって 同じかもしれない。
亮太は 私とする経験が 好きなのかもしれない。
私は 亮太に好かれるような 可愛い女の子じゃないから。
亮太から連絡が来ない夜。
不安と悲しみが私を自棄にする。
亮太と別れても 傷つかないように。
亮太を好きなことさえ、勘違いだったと。
私は 泣くこともせず、強がって 意地を張っていた。