未来は霧のなか
「えー。大学に行けば 四年間 自由になるじゃん。勉強している大学生なんて いないよ。」
典子の言葉に みんなは頷いたけれど。
美佐子は静かに首を振り
「色々 規制されるの、嫌だよ。」
と吐き出すように言った。
美佐子は 何に 規制されているのだろう。
学校中の誰よりも、自由に見えるのに。
今だけが大切なのか。
将来のために 今を 我慢することは 嫌なのか。
美佐子の 刹那的な考え方に 私は 惹かれるのかもしれない。
将来も 未来も わからない。
信じられるのは 今だから。
そんな事を思いながら 私は 美佐子をぼんやりと見ていた。