君の居場所を賭けようか
気が付けば、忍の番がまた回ってきた。ボウッとしてしまった忍をゲームを続けるか迷っていると思ったのか、二人は挑発的な笑みを浮かべている。

「別に俺らとしてはどっちでもいいんだぜ?クイーンが迷ってるってことは、その手に揃えられたカードは大したもんじゃねぇんだろ?」

「あのクイーンが悩むってなるとワン・ペアやツウ・ペアもできてない感じですか?ええカード持っとって苦しげな顔見せませんよね?」

詩音と千里に言われ、忍は「コール」と言うか「ドロップ」と言うべきか迷う。「ドロップ」という言葉を忍は使ったことがない。その言葉を言えば、忍の勝負は負けが決まる。

「コ、コール!」

クイーンとしてのプライドが苦しくも勝った。忍は乱暴にチップを置く。

「へえ、まだ続けるんだ?諦めて俺のものになればいいのに」

「まだ詩音くんのって決まったわけじゃないんやけどね。でもまあ、忍ちゃんが決めたなら最後まで楽しみますよ。まだまだ夜は長そうやね」
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