ぜんぜん足りない。
「でもわたし、し、いま下着だから……えっと、相手にはあとで折り返すよ……」
「べつにそのままでいいでしょ。どーせ相手には見えないんだし」
「っ、いや、相手じゃなくて、こおり君に見られるのが……っ」
もう見られてるけど!
どうしよう、貧相だとか思われたら……!!
「み、見ないで……」
スマホが鳴ってることなんか、この際どうでもよくて。
特に褒めてもらえる要素がない体を、好きな人に見られるのがこの上なく恥ずかしい。
壁に背中がつくまで下がった。
チリチリ音がするんじゃないかってくらい肌が火照ってる。
「こおり君。あっちいってよ」
「はは、すげー真っ赤」
「からかわないで……っ。こおり君は、わたしの下着姿なんか見てもなんとも思わないだろうし、そもそも興味ないだろうけど、わたしは──────」
自分の声が途切れた。
目の前が急に暗くなったから。
……こおり君が、わたしをサンドするみたいに、目の前に立って壁に手をついた……から。
「興味あるよ。ふつうに」
小さく笑いを含んだ声だった。
「風呂あがったあと、もっかいちゃんと見せて」
それでも甘く、耳元に響く。
──────こんやは眠れない
……かも、しれない。