ぜんぜん足りない。
さすが元同居人。
ぎこちない空気が壊れるのも早かった。
酢豚を食べ終えてもずっと話が尽きなくて、気づいたら1時間以上話してた。
キスされたの夢だったかな?ってくらいに吹っ切れてたわたしは単細胞なのかもしれない。
そして時間を忘れて夢中になってしまうわたしは、……やっぱりバカなのかもしれない……。
「うわ、もう8時か。俺、先に風呂入っていい?」
「あ、うん。いいよー」
なんて、呑気に返事をして。
──────8時?
「えっ⁉ 8時⁉」
壁の時計、スマホの時計。それぞれ確認したけど、どっちも同じ時刻を示してる。
こおり君!!!!
行かなきゃ!
でもその前に歯磨き、あとメイクも直さなきゃだし前髪ももう巻きが取れてる。