ぜんぜん足りない。
ズシン。
心に重たいものがのしかかった感覚。
そっか……。
わたしが毎日部屋に押しかけて来なくなったから、遊びに行ったり、好きなことができるんだよね。
昨日も一昨日もその前も、那月ちゃんたちと夜まで遊んでたのかな。
今までわたしが毎日押しかけてたのは、迷惑……だったのかも。
「ねえ光里、どうなの? 低血圧で朝機嫌が悪いのはわかるけど、返事くらいしてよ〜」
「今日は無理」
「ええー! なんでっ」
「用事ある」
今、ふたりの会話にわたしは関係ない。
ちょっとずつ歩く速度を落として、ふたりから距離をとった。
並ぶ背中。
こおり君はすらっと背が高くて、那月ちゃんは短いスカートからのぞく脚が綺麗で……後ろ姿だけでもお似合い、だなあ。
みじめ。
その3文字が胸にぐさっと突き刺さる。
その直後だった。
……こおり君が振り返ったのは。