ぜんぜん足りない。
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「律希! 帰ってきたよ、大丈夫⁉」
底抜けに明るく作った声に虚しくなりながらも、リビングのソファで眠ってた律希に駆け寄った。
「うるせぇーな、もっと静かに入ってこいよ。てか。帰ってこなくていいって言ったろ」
「もう帰ってきちゃったんだし文句言わないでっ」
「だから声うるせぇって」
生意気な口をききつつも、やっぱり声に覇気がない。視軸が定まってないのか、目も虚ろな感じ。
「辛いよね……。頼まれたもの買ってきたよ。あとゼリーとか果物もあるよ」
「あー…悪いな。自分で行こうと思って1回外出たんだけど、やっぱ無理そーでさ…お前に連絡した」
「えっ、外出たの⁉ じっとしてなきゃだめじゃん!」