ぜんぜん足りない。
うるさいって言われたばっかりなのに、また声を荒げてしまった。
でも、こうやって注意しないと律希はいっつも無理するからしょうがない。
「とりあえず、袋の中から食べれそうなもの取っといて……わたしはおかゆつくるね?」
「サンキュ」
「あとしてほしいこととかあったら、なんでも言ってね」
「わかった。……てか、そういえばさ、」
「ソファじゃゆっくり休みないだろうし、わたしのベッド使ってもいいから」
「 、あのさ。桃音」
強めの声で遮られた。
目が合った途端うっかり心臓が跳ねる。
律希がわたしのこと好きかもしれないって……そればっかり意識しすぎて。
「うん、どうしたの?」
余計なことは考えるなと言い聞かせて、冷静に返事をした、のに。
「隣って、今誰が住んでんの?」
突然、そんなことを言われるから「へっ⁉」と妙に上ずった声が漏れてしまった。