ぜんぜん足りない。
盛大なため息をついてまぶたを伏せたみっちーは、同情ってだけじゃなさそうで、ほんとに残念そうな顔をしていた。
みっちーは基本女の子とばっかりいるイメージだけど、移動教室やフリーの放課後は、こおり君がいるグループと一緒にいるのをよく見かける。
「べつに光里と仲良いわけじゃないけど、オレがあいつらと時々つるむのは、光里がいるからなんだよ」
「……、こおり君がいるから…?」
「光里がいい感じにストッパーの役割してくれてんの。ハメを外しても、外しすぎないように、みたいな」
「そうなの?」
たしかにこおり君がいるグループはやんちゃ寄りで、一歩間違えば不良みたいな男子たちの集まり。
授業中もよく先生に注意されたりしてるけど、そういえば、こおり君が怒られてるのは見たことないかもしれない。
「光里クンもああ見えて、悪ふざけはお好きなんですよー。でも、絶対行き過ぎないところがオレ的にポイント高くて。なんだかんだ、みんな光里のいうことだったら聞くし」